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2012.12.13

ハーバード大学ケネディ行政大学院ディーン・ウィリアムズ博士による講演会が開催されました。

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 12月11日、法科大学院大講義室にて、ハーバード大学ケネディ行政大学院ディーン・
ウィリアムズ博士による「リアル・リーダーシップ:変革の時代の試練に立ち向かうために」
と題する講演会が開催されました。



 同講演会は、在福岡アメリカ領事館広報部との共催で、ウィリアムズ博士の講演、その
後の質疑応答を含め約2時間にわたって開催され、学生・教職員あわせて164名が参加
しました。
 この講演では、ウィリアムズ博士が唱える「リアル・リーダーシップ(真のリーダーシップ)」
と「偽のリーダーシップ」の違いについてが、論点の中心でした。シンガポール政府やナイ
ジェリア大統領のアドバイザーとしての経験、あるいは、マダガスカルでの大統領首席アド
バイザーとしての経験などに基づいて説明されました。ウィリアムズ博士によると、偽のリー
ダーシップとは「力と権力を使って本質からそれたタスクを人々に提示し、進歩という作業を
遅らせること」であり、これに対し、リアル・リーダーシップとは「権力で人々を従わせるので
なく、人々の叡智を結集し、人類の発展と平和へと導く考え方であり、その本質は、人々が
目を逸らさずに現実を直視するように、人々を動かすことにある」と説かれました。また、
「リアル・リーダーシップには、好奇心、学びの情熱が必要。若い皆さんは、自分が安心で
きる小さなグループから一歩踏み出し、世界に目を向けてほしい」と、熱いメッセージが送ら
れました。
 講演後の質疑応答では、「日本は今月(12月)16日に総選挙を控えている。日本の首相
に必要なリーダーシップとは何か」との学生からの質問に対し、「日本は文化的変化が必要。
日本が何を大切にし、何をしたいのか。日本はグローバル・コミュニティーの一員として、
ビジョンを再定義しなければならない。日本は、明治維新のように、もう一度ルネッサンスが
必要ではないか。政治に不安を感じるのであれば、皆さんがどうするかを考えていく必要が
ある。明治維新は欧米列強国からの外圧の中で、また太平洋戦争後は米国の援助を背景
に見事に日本は改変に成功した。今度は日本が己自身で立ち直らなければならない。」と
回答されました。また、「リアル・リーダーシップを学ぶために、お薦めの映画や本は」との質
問に対しては、「日本の古い映画や文学作品が大変参考になる。ハーバード大学の授業で、
日本刀を扱うサムライに関する記事を必ず学生に読ませているが、記事では、日本刀を操る
技術ではなく、自己鍛錬することこそが大事である、と説いている。皆さんも内面を磨いてほ
しい」と答えてくれました。

 講演を終え、学生からは「サークルのリーダーをしているが、偽のリーダーシップに自分が
当てはまっていたのではないかと感じた。答えは得られないかもしれないが、明確なビジョン
をもって取り組みたい」(原口愛咲さん、法法・2年)、「私はリーダーではないが、政治の問題
など、自分が何か行動できたらと感じた」(山内桜子さん、商商・2年)、「講演を参考に、今後
は、たとえ自分がリーダーにならなくとも、積極的に行動していきたい」(北崎道夫さん、経国経
・2年)などの感想が寄せられました。

 ウィリアムズ博士は日本のリーダーも幅広く研究されていて、西郷隆盛や松下幸之助、ソニー
創業者に名を連ねる盛田昭夫などの事例も紹介。学生達は、貴重な講演を前に、熱心にメモを
取りながら真剣な眼差しで講演に聴き入っていました。