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2025.08.07

デロイト トーマツ グループによる「データサイエンス実践」が開講されました

 本学では、2022年度にデロイト トーマツ グループと「データサイエンス教育に関する連携協定」を締結し、2024年度から産学協働で、実社会への応用力や課題解決力のある学生を育てることを目的とした「データサイエンス実践」を開設しています。
 さらに、今年度からは全学部を対象に「データサイエンス副専攻プログラム」が始動し、「データサイエンス実践」は、副専攻プログラムの開講科目一つとして、統計学・AI・プログラミングなどの知識を活用しながら、最先端のデータアナリティクスを実践的に学ぶ授業を実施しています。「データサイエンス実践」は、全14回の授業で構成され、今年度は約25名の学生が受講しました。学生たちは、ビジネスの現場で実際に行われるような実践的なマーケティング分析のプロセスを体験しながら、データリテラシーやデータ分析技術、論理的な課題解決力を習得しました。
 授業の前半では、データ分析を中心に、マーケティングの基礎、生成AI、統計データ活用の最新動向などについて学習。また、Tableauを活用したデータの可視化や分析手法の活用にも取り組みました。中間発表では、仮説設定からKPIを確認し、効果検証方法の検討を行う実践的な演習も実施。学生たちが「架空のECサイト運営会社の社員」として、可視化したデータをもとに、仮説の検証や改善案を提案しました。この取り組みでは、ロジカルシンキングの考え方を取り入れ、仮説の構築から検証までを繰り返すことで、課題分析力を養いました。
 後半では、習得したスキルをもとに、実在する EC サイトの購買情報を元にしたリアルなオープンデータを用いた演習を実施。Pythonを使ったデータ分析では、生成AIの力を借りてプログラミングを体験しました。ここではGoogle Colabを使用し、ECサイトに関するデータを自ら分析する力を育成しました。AIが生成したコードを読み解き、コードの生成やエラー修正を行う経験を通して、変数リスト・条件式・関数・数式など、基本構文の「存在を知ること」や「実際に書いてみること」が学習の第一歩となることを学びました。
 最終授業では、これまでの授業で学んだ知識や分析方法を活用して、6つのグループに分かれて架空の企業のビジネスアナリストの立場から、CEO役を務める講師陣に対し、ECサイトの課題に対する分析結果と考察、今後の展望を発表。各グループは、それぞれの課題を設定し、仮説と検討した分析モデル、検証結果、考察を述べました。具体的には、「レビュー評価と売上の関係性」や「商品カテゴリと売上上昇率の違い」、「リピート購入と優良顧客の関連性」、「商品名の長さと購入率」といった多様な切り口から分析を行いました。学生たちは、実際にChatGPTやGeminiを用いてプロンプトを活用しながら分析し、うまくいった点やうまくいかなかった点を振り返ることで、データ分析の難しさと同時に、その奥深さや面白さも実感していました。講師陣からは、各グループの発表に対し、定義や指標の再認識やデータの見方を変えるポイントなど、今後の分析に生かすための建設的なアドバイスをいただきました。
 授業の最後には、デロイト トーマツ グループにて、Deloitte AI Institute所長を務める神津友武氏から「分析力・技術力・着眼点のいずれも学生視点で興味深く、素晴らしい発表でした。生成AI時代において、なぜこのような分析が重要なのか―それは、仮説を立てて検証し、導き出された結果が正しいかどうかを最終的に判断できるのは、人間だけだからです」と講評をいただきました。また、北垣副学長(教育・研究担当)は、「デロイト トーマツ グループの皆さまによる授業は、学生にとって非常に貴重な学びの機会であり、グループディスカッションを通じて交わされる対話の中から、多くの気づきや新たな発想が生まれていました。この授業では、実際に仮説を立てて検証を重ねていく過程にこそ価値があり、うまくいかなかった経験もまた重要な学びにつながります」と総評しました。

 参加した学生からは、以下の感想が寄せられました。
・外国語学部外国語学科4年生
「普段は外国語学部の授業を受けているので、マーケティング戦略に関する内容は非常に新鮮で興味深かった。ECサイト改善に向けたデータ分析やTableauの活用を通じて、実践的な知識を深めることができた。特に、デロイトの方々から直接指導を受けられたことは貴重な経験だった。基礎から応用まで段階的に学べる構成で分かりやすく、スムーズに理解できた。ECサイト運営者の立場で考える経験は将来のビジネスに役立つと実感した。今後はGoogle Colabなどのツールの理解を深め、実践力をさらに高めていきたい」
・商学部商学科2年生
「高校時代に情報処理を学んだ経験を生かし、実務に即したデータ分析を学べる貴重な機会だと考えて受講した。PythonやTableauを用いた分析の基本を実践的に学び、4年生のメンバーと業務改善案を考える中で、ビジネスを想定したアウトプットの経験も得られた。現役のコンサルタントの方から学べたことは非常に貴重な機会で、ぜひデータサイエンスに関心のある人に薦めたいと思う。今後はさらにスキルを磨き、データを活用できる人材を目指したい」

 本授業は、学生にとって、実際の現場で活用されている分析手法や知識への理解を深めるとともに、実践的な演習の中で、学んだスキルを活かして課題分析を行い、解決策を導き出すプロセスを体験する貴重な学びの機会となりました。
 今後は、本授業で身につけた知識やスキルを、社会における実践の場で生かしていくことが期待されます。