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2015.05.29

マスメディア実践論で江副直樹さんにご講演いただきました

 5月27日(水)、マスメディア実践論にて、事業プロデューサーの江副直樹さんに
ご講演いただきました。
 朝日新聞寄付講座のマスメディア実践論(前期水曜5限)は、新聞や広告、テレビ
業界を中心として毎回違う講師をお迎えして講義していただくオムニバス形式の授業
です。九州大学にも提供し、正式に単位が認定されます。今年4月入社した受講生は、
九大生も含めてNHK2名、毎日新聞2名、読売新聞西部本社、関西のテレビ局など
圧倒的な実績を誇っています。今年も充実した講師のラインナップで、今回は、かつて
西南で学び、母校に訪れたのは40年ぶりだという事業プロデューサーの江副直樹さん
をお迎えしての刺激的かつ有益な講義をしていただきました。



以下は、受講生の法学部3年生2名によるレポートです。

江副さんは西南学院大学法学部を三年次に中退、実家の米屋、出版社、コンク
リートブロック工場勤務ののちにコピーライターへ。“事業プロデューサー”として、
印刷物の作成から空間作りまですべてをプロデュースしている。プロデュース業を
しようと思ったのは前職のコピーライター時代が影響されていて、商品コピーを考える
うちに『ゼロから関わる仕事をしたい』と思うようになった。

九州ちくご元気計画
九州ちくご元気計画(筑後地区雇用創造協議会)は、厚生労働省から委託された雇用
創出プロジェクト。だいたいこのようなものは『事業』とは名ばかりで「いい就職ところへ
就職できるように…」といったスキルアップを目的とした勉強会にすぎないそうだ。江副
さんの事業ではこのようなことはせず雇用の前段階として地域で仕事をする個々を刺激
(プロデュース)することで、ローカルでの就職先、雇用を創出していこうという計画である。
このような計画を進める上で大切なのは、面として全体を持ち上げるのではなく、意欲の
ある一人一人、点を持ち上げることが大切である。するとそれに続いて多くの人が動くため、
外から見ると面とし手持ち上がった大きな動きに見えて来る。

江副さんのプロデュース法
[企業をよくするためには?]→[収入をアップさせることが大事]→[いかに魅力ある商品を
作る(デザインする)か]デザイン≠お化粧
 →手にとらなくても『いい感じ』であるということを伝えることこそデザイン。『デザイナーは
  スーパーカーを作りたがるが常にスーパーカーがいいとは限らない。軽トラがベストな
  時もある』そこを見定めるのがプロデューサー。

大事なこと(総合デザイン)
商品デザイン 商品とサービス(換金物)
情報デザイン 広報と広告(発信)
空間デザイン 空間と環境(建築物)
この三つを同時に考えイメージを固める「ブランディング」が大切である。
そして、この三つをつなぐ考え方が「コンセプト」である。
この、総合デザインによる具現化が大切。

ものづくりとは
ローカルのものづくりにおいて、値付けをしっかりと行うことが重要である。そして、販路がない
とあきらめるのではなくまずは「良いものをしっかりとつくる」こと。なぜなら販路の対象が違って
いただけだったりするし、そもそも良いものは必ず誰かの目に止まるものである。量と価格だけ
を押し出す“スペック売り”をするのではなく、物語や背景を語ることで価値を上げるべきである。
そのために、感覚に訴える「デザイン」という手段が重要なのだ。ブランディングをデザインで
実現することがカギである。

感想
プロデュース、プロデューサーという言葉をきいてかなりクリエイティブな仕事をしているのだと
思っていたがまさにその通りだと思った。しかし江副さんの作品やプロジェクトを通して、販路の
発想の逆転はもちろんのこと漆喰の単純な白の美しさを見る感覚、引き上げるものを見つける
嗅覚が素晴らしいと思った。
特に私にとって一番心に残っていたのは『エフコープ』の話である。もう7、8年前になるだろうか。
私が中学高校生の時に見ていたエフコープのCMは江副さんが手がけたものであった。
『エフコープは非常識です』
このキャッチコピーをもとに、発泡剤を使わない歯磨き粉、泥のついた人参、三日で腐るウィンナー
などあえて強調して出す。当時の私はその違和感をはっきり覚えている。確かにまだ当時はそんな
に深く考えていなかったが今ではその意味がよくわかる。あくまで単純にプロデュースすればいい
わけではなく対象の本質をよく見極めた上でデザインしプロデュースすることがいかに人の心に
インパクトを残すかがよくわかった。そんなすごいプロデュースをされる江副さんですがご自身は
プロデューサー業を副業、趣味の釣りを主業だとおっしゃっていた。冗談ではあるだろうが、江副さん
の仕事のバイタリティー、人生の軸になっていることがよく伝わった。どんな仕事をするにしても人生
の軸となる趣味を持つことが仕事もプライベートも豊かにしていくのだと強く感じた。私も山登りや一人
旅が趣味なのでこれからそれを軸にしながら就活、仕事とのバランスをとって人生を謳歌したいと思う。